Charlotte Perriand, Collier Roulement a Billes Chromees, (Ball-bearing Necklace), 1927, Adagp, Paris, 2019 © AChP
1927年のサロン・ドートンヌに、ペリアンは「屋根裏のバー(Le bar sous le toit)」を出展して評価を得る。手の込んだ装飾を施した内装が一般的であった当時、それは衝撃的な作品であった。表層の装飾を一切省き、アルミニウムやガラス、クロームなど自動車部品に広く用いられていた工業用の素材を用いたのだった。ペリアンは、自然界に存在する非対称の美しさに強い興味を抱きながらも、機械の美しさ、特に自動車に対する興味を大きく膨らませるようになっていた。自動車はその当時の最先端技術の好例と言えるだろう。彼女は輝く車体をした高級車を眺めるために、よくシャンゼリゼ通りに通った。ペリアンが機械に魅了されていたことは、彼女のファッションからも明らかである。ペリアンは、銅製のボールが連結されたネックレスを身につけることを好み、それを「私のボールベアリング・ネックレス」と呼んで、自分が20世紀の機械時代を信奉することのシンボルと考えていた。
ペリアンが、「住宅は住むための機械である」という言葉で有名な近代建築のパイオニアであるル・コルビュジエのスタジオで働きたいと彼に申し出たのは驚くまでもない。スイス人建築家のピエール・ジャンヌレと共にペリアンは、彼らが求める合理的で機能性を強く意識した「新しい生活様式」のために、家具やインテリアのデザインに従事する。たとえば、ペリアンがコルビュジエ、ジャンヌレと共にデザインした「LC3アームチェア」(1928年)はスタイリッシュであるが座り心地は良い。金属製の家具は無機質になりがちだが、革や毛皮が組み合されて豪華な印象を与えている。有名な「LC4ラウンジチェア」(1928年)は、洗練された寝椅子と言える。写真で椅子に横たわる人物はペリアンであるが、よく見ると先ほど述べたネックレスを身につけているのが分かる。