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たくさんの道を通って:ス・ドホの世界

ス・ドホは自らの芸術を通じて大胆に様々な分野の境界を超越し、さらに超越の概念そのものについても語っています。ス・ドホはキャリアの初期から、小さな自伝のような作品を通じて、彼の人生の道程でこれまで知られていなかったことを明らかにしてきました。

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ス・ドホの幅広い全ての作品でもっとも高く評価されているのは、カラフルで空気のような半透明の布を使って建築をつくる能力です。その制作過程では、彼はまず生活空間の寸法を正確に計測し、その寸法をパターンに変換して、最後に韓国の熟練した裁縫師と一緒にそれらを縫い合わせます。すべての優れたアーティストや建築家と同様に、彼のディテールへのこだわりは他の追随を許さないものです。最終的な作品には、コンセント、暖炉、ドア、電気のスイッチまで含まれています。 現在では韓国で最も偉大な現代アーティストの一人として知られているものの、ス・ドホの人生とキャリアはまったく違った道を辿っていたかもしれません。彼は1962年にソウルで母チョン・ミンジャと有名な画家の父ス・セオクの間に生まれ、海洋学者を目指していました。しかし海洋学で学位を取得するには成績が足りなかったため美術に転向し、ソウル大学で東洋絵画を専攻しました。韓国の法律に従って彼は兵役に服し、任務を終えると2年足らずで渡米。ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン 絵画専攻で学士号を取得した後、イェール大学 彫刻専攻で修士号を修了しました。
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彼の初期の作品のひとつである「High School Uniform」(1997) では、ソウルの高校生をモチーフにした白黒のジャケットとシャツを着た300体の頭のないマネキンが置かれています。彼はこのインスタレーションを「Who Am We?」(1996) と題した、韓国の高校の卒業アルバムから3700人の少年の顔写真をスキャンし、ほとんど見分けがつかないほどのサイズに縮小した壁紙のプロジェクトと組み合わせました。 2001年のヴェネチア・ビエンナーレの韓国館代表に選ばれた時は、彼は軍での経験を活かして、銀色のドッグタグ(兵士が身につけるIDタグ)を使って巨大な紋章を作った「Some/One」という作品を発表しました。その後2010年に彼は手足を伸ばした小さな人型でできた「Net-Worth」と名付けた漁網をつくりましたが、これは異なる文化間の移動の集団的体験への賛同を表現していました。2012年に発表した「Fallen Star」と題した作品では、サンディエゴのカリフォルニア大学工学部の屋根に今にも落ちて来そうな様子で30トンの重さの家を設置しました。72 Blue Heron Wayという偽の住所まで与えられたこの作品は、家の概念を探求することを軸に展開されています。彼はそれ以来、インスタレーション、絵画、映像などの手段を用いてこのテーマを執拗に探求してきました。
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自分と家の意味、そして境界の概念を問うことの必要性は、彼のキャリアの始めの頃と同様に、今でも彼の作品に顕著に表れています。しかし世界中を渡り歩いてきた彼自身の存在を考えると、彼の儚さへの強い興味は当然とも言えるでしょう。「アメリカに行くために韓国を離れたことは、私の人生において最も困難であると同時に重要な経験でした」と彼は2016年にシンシナティ・アート・センターで開かれた展覧会「Passage」 のカタログで記しています。「家を離れたことで、初めて家の概念を考え、意識するようになりました。だから、家がなくなったことで、自分にとっての『家』が 存在し始めたとも言えます。」 このマニフェストは、ス・ドホの2017年の展覧会「The Passage/s」で特に顕著に表れています。この展覧会で、彼はロンドンのビクトリア・ミロ・ギャラリーの端から端まで、人生を通じて今まで住んでいた様々な場所を表現する色とりどりな通路を設けました。このインスタレーション自体は「Hub」と名付けれた大きな青い部分を中心に展示されていますが、韓国にある彼の幼少期の家のレプリカを含む9つの空間が展示されました。ギャラリーの壁には、彼の「Rubbing/Loved 」プロジェクトの作品が展示されています。この作品は、ニューヨークのアパートの内部空間のすべての面に紙を敷き詰め、色鉛筆やパステルで擦り、3年かけて完成させました。
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ス・ドホの作品の素晴らしさはたくさんありますが、その中でも特に魅力的なのは、訪れたことがない場所でも家にいるような気分にさせてくれることです。彼は幻のような色とりどりの家の模型を十数点も制作してきていますが、ひとつひとつがス・ドホ自身について何か新しいことを明らかにしています。しかし、韓国のハノック(伝統的な住宅建築)であれ、ニューヨークのアパートメントであれ、それぞれの作品の家庭的な様子は、鑑賞者に親密さや安らぎの感覚をもたらしてくれます。 Text: Alice Morby (Top to bottom): Do Ho Suh, Staircase III (2003-2011), Tate: purchased with funds provided by the Asia Pacific Ac- quisitions Committee 2011 © Do Ho Suh | Photo: Antoine van Kaam (1) - Do Ho Suh, Installation view, Passage/s, 2017 © Do Ho Suh | Courtesy the artist and Bildmuseet, Sweden Photo: Mikael Lundgren (2) - Do Ho Suh, Hub, 310 Union Wharf, 23 Wenlock Road, London N1 7ST, UK, 2015 Polyester fabric, stainless steel © Do Ho Suh | Courte- sy the artist, Lehmann Maupin and Victoria Miro (3) - Do Ho Suh, Installation View, Voorlinden 2019 © Do Ho Suh | Courtesy the artist and Voorlinden, Netherlands Photo: Antoine van Kaam (4) - Do Ho Suh, Wielandstr. 18, 12159 Berlin, 2011 Polyester fabric and metal armature © Do Ho Suh | Courtesy the artist, Lehmann Maupin and Victo- ria Miro (5) - Do Ho Suh, Seoul Home/Seoul Home/Kanazawa Home, 2012 Silk and metal armature © Do Ho Suh | Courtesy the artist, Lehmann Maupin and Victoria Miro (6) - Do Ho Suh, 348 West 22nd Street, Apt. A, Corridor and Staircase, New York NY 10011, USA, 2012 Polyester fabric and metal armature © Do Ho Suh | Courtesy the artist, Lehmann Maupin and Victoria Miro (7) - Do Ho Suh, Bathtub, Apartment A, 348 West 22nd Street, New York, NY 10011, USA, 2013 Polyester fabric, stainless steel wire and glass display case with LED lighting © Do Ho Suh | Courtesy the artist, Lehmann Maupin and Victoria Miro (8) - Do Ho Suh, Hub, 260-7 Sungbook-Dong, Sungbook-Ku, Seoul, Korea, 2017 Polyester fabric and stainless steel armature © Do Ho Suh | Courtesy the artist, Lehmann Maupin and Victoria Miro (9)