Lunar Test Article 8 (LTA8) | Location: Space Centre Houston | Photograph © Benedict Red- grove ‘NASA - Past and Present Dreams of the Future’
アメリカ航空宇宙局(NASA)は、米国郵便公社や環境保護庁と同じように、米国連邦政府の独立機関です。しかし3つの機関の共通点はそれだけです。冷戦の真っ只中の1958年に設立されて以来、NASAとその技術者によって生み出される業績は、人類の大望、そして私たちの住む地球から何十万マイルも離れた場所を探求し発見したいという願望の最前線にあり続けています。
NASAの世界は静かな研究室から爆音のとどろく発射場に至るまで、世界中のあらゆる世代の人々を魅了しています。なぜそれまでに私たちを夢中にさせるのか?それは ”宇宙旅行” が科学、政治、歴史、未来、危険、そして勇気が完璧に混ざり合ったものだからです。しかし、NASA関係者以外でその世界を経験したり、そこにあるものを間近で観察することができる人はほとんどいません。イギリスの写真家、ベネディクト・レッドグローヴは数少ない幸運な人のひとりでした。
9年間の旅を通して、レッドグローヴはヒューストンのジョンソン宇宙センター、フロリダのケネディ宇宙センター、ルイジアナのミシュー&マーシャル飛行センターなどの全米各地のNASAの施設やスミソニアン・アーカイブスを訪れ、「宇宙開発競争」がとっくに終わった今でも私たちを魅了しつづける様々なイノベーションを捉えています。しかし、NASAを訪れてドアをノックすれば誰でも中に入れてもらえるというわけではありません。レッドグローヴは4年半かけてNASAと連絡を取り合い、彼らの厳しい基準を確実に満たしていることを立証しました。立入禁止区域への立ち入りを許可されたことによって、彼の写真は今まで一般公開されてこなかったNASAの歴史的資産に光をあて、生死に関わる重大なテクノロジーの複雑なディテールから宇宙旅行を可能にする巨大なエンジンまで、すべてのものを詳細に記録しました。