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シモーン・リー:自己意識を造形する

ゴールドとプラチナ。ラフィア、ブロンズ、テラコッタ、スチール。アーティストのシモーン・リーの彫刻には、素材と意思の魔法が潜んでいる。

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Simone Leigh, Sentinel, 2019. Bronze and raffia.
Installation view: ‘The Hugo Boss Prize 2018: Simone Leigh, Loophole of Retreat’, Solomon R. Guggenheim Museum, New York | Photo: David Heald © 2019 The Solomon R. Guggenheim Foundation

シモーン・リーの芸術活動について論じるには、彼女が主に対象とする鑑賞者を認識することから始めなければならない。それは黒人女性だ。長い間、黒人女性が生きてきた体験を沈黙によって封印してきた世界で、リーは沈黙を破るために自分の芸術を利用している。彼女が対象とする鑑賞者は黒人女性だが、彼女の芸術は世界じゅうに影響を与えている。彼女がつくりだすパブリックな作品は、美術館や個人コレクションの枠を超えて、空間に再び力を与え、次世代のためのモニュメントとして存在する。しかし、リーの一連の作品を見て彼女を「モニュメント作家」だとみなすのは無理もないかもしれないが、それは大きな間違いだ。アーティストはモニュメントを制作すると同時に、出来上がった作品は、鑑賞者である私たちを形づくっていくのだ。それらは、空間、時間、そして私たちが共有する物語を明らかにするために存在する。

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Simone Leigh, Las Meninas, 2019. Terracotta, steel, raffia, porcelain © Simone Leigh |
Courtesy of the artist and The Cleveland Museum of Art | Photo: Farzad Owrang

イリノイ州シカゴ出身でニューヨークのブルックリンを拠点に活動するリーの作品は、400年以上の歴史を持つ偉大なアメリカの芸術家たちのレガシーのなかに位置づけられる。リーの芸術の影響力を理解するために、まず「デイブ・ザ・ポッター」(陶工のデイブ)あるいは「デイブ・ザ・スレイブ」(奴隷のデイブ)として知られるデイブ・ドレイクの作品を見てみよう。1800年代初頭に生まれたドレイクは、サウスカロライナ州エッジフィールドに住んでいた陶工だ。ドレイクのつくる壺は、その大きさ(手作業で制作された壺としてはアメリカ国内で最大級)だけでなく、作者自身がつくった詩が刻まれていたことも特徴としてあげられる。彼は、ある壺に「私たちに銀を、あるいは金をください。それらは私たちの魂にとって危険なものだが。」と記した。奴隷に読み書きを教えることが法律で禁止されていた時代に、ドレークの壺のひとつひとつは革命だった。スケール感と詩を駆使した「デイブ・ザ・ポッター」の作品は、現実を覆し、人々を楽しませ、学びを与える空間としての芸術の力を証明している。 

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Simone Leigh, '100 (Face Jug Series)', 2018. Salt-fired stoneware © Simone Leigh |
Courtesy the artist and Hauser & Wirth

ドレークの志を受け継いだシモーン・リーは、重さ5900ポンド(2.67トン)の彫刻作品「ブリック・ハウス」、2018年の展覧会「Loophole of Retreat」の出展作品などに見られるように、黒人女性の物語を生き生きと表現し、すべての人に強く訴えかける作品を制作している。多彩な才能を持ち、明解で示唆に富むリーのプロジェクトは、ファッション誌とのコラボレーションから世界各地の著名な美術館での展覧会まで多岐にわたる。2022年に開催される第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展では、アメリカ代表として参加する予定だ。
家に閉じ込められ、知らない人との出会いは限られ、ますます危険になっている現在、芸術作品は私たちにとって最高の友になった。リーは常に芸術活動を通じて、鑑賞者に自分自身をどう見るかを問いかけている。彼女の彫刻は、アメリカ人としてのアイデンティティだけでなく、ベニンのブロンズ像やミシシッピー州ナチェズのレストラン「マミーズ・カップボード」の建物からも同じように着想を得ている。それぞれの作品は私たちの自己意識を明らかにするための様々な物語を巧みに表現し、鑑賞者にそれらの価値を問い直し、再考する場を提供している。 

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Simone Leigh photographed in her studio, 2020 © Simone Leigh |
Courtesy the artist and Hauser & Wirth | Photo: Shaniqwa Jarvis

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Simone Leigh, Jug, 2019. Bronze © Simone Leigh © 2019 | The Solomon R. Guggenheim Foundation |
Courtesy of the artist and The Solomon R. Guggenheim Foundation | Photo: David Heald

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Simone Leigh, Sentinel IV, 2020. Bronze,© Simone Leigh | Courtesy the artist and Hauser & Wirth

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Simone Leigh, 101 (Face Jug Series), 2018. Salt-fired stoneware © Courtesy the artist and Hauser & Wirth

Text: Kimberly Drew

Translated by: Kazuko Sakamoto 

Images: © Courtesy the artist and Hauser & Wirth