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デザインのルールを解体する。ギレルモ・サントマの世界へようこそ。

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2015年12月、スペインの建築家・デザイナー・アーティストのギレルモ・サントマは、バルセロナの北東端にあるエル・ギナルド地区に位置する1920年に建てられた住宅「Casa Horta 」の工事を終えました。地味なグレーの建物の奥で、サントマは居住できるアート作品を構想し、それを実現しました。以前は廃墟となっていた3階建の家の内部は、綿菓子のようなピンク、深海のようなブルー、森のような緑がコントラストを成し、印象的なジオメトリー、そして天才的な光と空間の使い方によって、すっかり姿を変えました。  彼はニューヨーク・タイムズ紙の取材で、「Casa Horta 」は「ごく基本的な工事の知識しかない5人の男たちの手で」建設されたことを明らかにしました。この変容はわずか4ヶ月で成し遂げられました。住居としての機能を十分に果たすその家では、サントマ、彼のパートナーでグラフィック・デザイナーのラケル・ケヴェド、彼らの幼い息子のヤンが生活しています。彼らはサントマのデザインやケヴェドの作品はもちろんのこと、スターリング・ルビーの巨大な足など尊敬するアーティストの作品たちに囲まれて暮らしています。 この人の目を釘付けにする型破りの芸術的介入は世界中を魅了し、「Casa Horta 」はサントマの一連の作品のなかで最も重要な作品になりました。 彼の中で”変容(transformation)”は創作活動全体を通じて鍵となるテーマとなっています。
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「物を破壊するアーティスト」としばしば称されるサントマは、前進するための道はまず後退することだと考えています。「そのプロセスは思考に似ています。複雑なアイディアをシンプルなものに変えて、”自分が何に興味を持ったか”を説明できるものにしなければなりません」と彼は説きます。「(私の作品の)変形は、悪戦苦闘の結果です。あるがままの現実を受け入れるのではなく、どのように時間が介在しているかを感じるために、それを”捏造”するのです。」 サントマはプロセス自体よりも「作品が完成されるまでのアイディア」を重視しています。ニューヨーク・タイムズのインタビューで、「私のスタジオの人たちには、いつもこのように言っています。『98%は考えること、2%はつくること』」と彼は語っています。 サントマの世界では、フィクションは「変形の主要な部分」として極めて重要な役割を果たしています。「それは言語をつくり出す方程式です。人間が物語を語り、存在しない世界を映し出す方法なのです」と彼は説明しています。彼はファンタジーを通して身近なものを未知のものにする自由を見出し、スタジオで見つけたものを使って巨大なシャンデリアをつくったり、便器をシンクに変えたりしています(「Toilet Sink」2020)。「すべてのものは既にあるものの断片でできていますが、それらの組み合わせ方によって、結果は大きく異なるでしょう」と彼は述べています。  彼はアイディアに着手する前にスケッチをしないと公言していますが、サントマの作品はあたかもそれ自体が自分の考えを持っているかのように感じられます––彼はただ種をまいて、それが何になるかを見届けているだけのように見えるのです。
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サントマのデザイン、プロジェクト、コラボレーションは想像以上に多岐にわたりますが、同じ題材を繰り返すことを嫌います。なぜなら彼にとって「主な題材はプロジェクトそのもの」だからです。このやり方によって、彼はひとつの軌道を構築することができます。彼の言葉を借りるのであれば「ある方向性を持ちつつも、宇宙で行き先を見失った小惑星のように––連続する瞬間の可能性」なのです。大人気のリモワのスーツケースをつくるのに使うアルミニウムを利用して、J・G・バラードの「Crash("GAS")」からインスパイアされた車をつくったり、スペインのラ・リオハにある12~13世紀に建てられた教会のために木材をおがくずにして噴水をつくったり(「Restoration of the Cloister at the Church of Santa María de Palacio 」)、サントマはデザイン、建築、アート、パフォーマンスの領域を行き来し、そしてしばしば4つの分野すべてにまたがる活動を展開しています。彼は枠にはめられることを拒む一匹狼です。世間が彼に対して何らかの位置付けをしようとすると、サントマは方向転換するのです。 現在サントマは「非実在(nothingness)」という概念を探求しており、バルセロナ中心部で廃墟になった庭のある建築物を制作中です。彼は「土と建築をつなぐものは水だけだ」と言います。その建物自体は役に立たず、「一見何も起きていないように見えるけれど、風景としての役割を果たしている。そのような場所を想像しています」と彼は説明しています。
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Text: Ashleigh Kane Translated by: Kazuko Sakamoto Images (Top to Bottom): Guillermo Santomà, MATADERO, 2020 | Photo: © Geray Mena (1) - Guillermo Santomà, MATADERO, 2020 | Photo: © Geray Mena (2) - Guillermo Santomà, MONEGROS, 2020 | Car in the Monegros | Pho-to: © Thibeau Grevet for Kaledoscope Magazine (3) - Guillermo Santomà, GAS, 2020 | GAS exhibited at Spazio Maiochi Milan for Kaledoscope Magazine Photo: © Guillermo Santomà Studio (4) - Guillermo Santomà, Casa Horta, 2020 | Photo: © Jose Hevia (5) - Guillermo Santomà, TOILETSINK, 2020 | Porcelain, plaster, lime and RGB LED Photo: © Guillermo Santomà Studio (6) - Guillermo Santomà, DR, 2020 | Photo: © Guillermo Santomà Studio (7) - Guillermo Santomà, Miami Couch, 2020 | Soft foam and Purple Resin | Photo: © Guillermo Santomà Studio (8) - Guillermo Santomà, Pool, 2020 | Photo: © Jose Hevia (9)